きっかけは些細なことだった・・・・。それなのに。 争いは大きくふくれあがり、世界規模にまで発展した。 そしてその争いは今も続いている。いまや始まりの理由を誰も知らないというのに。 この不毛な争いの理由を明らかにし、終結させることが 「キノコ戦隊シャンピニオン」の使命である。






 キノコ界は混沌の時を迎えている。平和な日々は昔のこと。今は大きな薄い影が世界を覆っている。

 その影のもとは争いの中にある。その争いは誰も知らないような遠い昔から続いている、

 世界は大きく3つのに分かれている。世界征服を企んでいる、といわれている「モリノカゲ団」とそれを防ごうとしている、といわれている「シャンピニオン」。そして世界に翻弄され抗う手段を持たない「マッシュルーム」である。争う「モリノカゲ団」、「シャンピニオン」。両者の力は拮抗し、どちらが負けるとも勝つとも分からない泥沼の状態である。だが両者とも確実に疲れてきていた。だがその両者よりも「マッシュルーム」はさらに疲弊していた。

 このままでは罪のない「マッシュルーム」が倒れてしまうーーー。その事態を打破するために結成されたのが「シャンピニオン」側のとくに優れた能力を持ったキノコたちの集団「キノコ戦隊シャンピニオン」である。しかし彼等は疑問を持った。誰も理由を知らないのになぜ戦わねばならないのだろうか、もしかしたら和解で終わらせられるのではないか、と。彼等は一般の「シャンピニオン」たちとは違う行動をとり始めた。「モリノカゲ団」を撃退する時にとどめをささなくなったのだ。確かに「マッシュルーム」たちを守らなければいけないとは思う。しかし実際のところ「モリノカゲ団」が何を目的としているのか直接聞いたものはいない。もしかしたらちょっとした誤解で争いが続いているのかもしれない。無意味な争いならどこにも犠牲をだすべきではないと考えたのだ。

結果上層部からは疎まれるようになった。大きな力を持ち、一応守ってくれる存在ではあるので孤立こそしなかったが、その行動にはいちいち監視がついた。


一方「モリノカゲ団」は組織の改革を行っていた。団長が代替わりし、部隊を編成し直した。種々の備えを充実させ、日々の訓練もおこたらない。理由は一つ。『自らを守るため』に。「モリノカゲ団」は世界征服なんて企んでいなかった。
自分の世界を守る。それだけだった。
そのためには攻められたら攻め返すーーー。いや、攻められる前に攻めるべきではないかーーー。「モリノカゲ団」は思っていた。「平和に暮らしたい」、「平和を得るためには戦うしかない」と。昔にはちがった理由があったかもしれない。だけど今はそんなことを知っているキノコは誰もいない。



・・・キノコたちの「世界規模のごっこ遊び」。
はじめはただそれだけだったのだ。
それなのに。
いつしかキノコたちはそれを忘れてしまった。
遊びは本気の喧嘩になった。
喧嘩は本当の争いになった。


いつこの無意味な争いは終わるのだろうか。